この記事はRails Girls Japan Advent Calendar 2021、19日目の記事です。
簡単な自己紹介
最初にRails Girlsと私の関係について簡単に触れておくと、2017年のRails Girls Tokyo 8thに参加したことが始まりでした。そのあとはまずRails Girls Tokyo, More!に参加する中で、コーチ陣から圧倒的信頼感のあるおすすめを受けてFjord Boot Campを受講し始めました。それから、江森さんについていったAsakusa.rbを皮切りにRubyコミュニティーに参加するようになりました。Fjord Boot Campをやている間無職だっためで気軽に身動き取りづらかった中でRails Girls JPの参加支援をいただいてRubyKaigi2018に参加もしました。そして2019年にはプログラマーに転職しました。
要するに、私はRails Girlsで人生変わった人の一人です。
この記事の内容
Rails Girlsに出会ったことで始まったキラキラ楽しい人生の変化も、振り返ってみるとどれも3〜4年前の出来事。
その後間もなく、今から2年前くらいからは「楽しいこともあるんだけど、まあ割としんどい時もある」「技術的なことに気持ちが乗り切れない自分がいてモヤモヤ」というような、どうも頭打ちというか、楽しそうと思うことはたくさんあるのにどれにも本気になれない自分にぶつかっていて、すっごく中途半端に過ごしていました。
今はそこから少し吹っ切れた自分がいます。 「私は私」ということを、頭で自分に言い聞かせるような状態ではなくて、もう少し地に足がついた、自分の呼吸として体の中で思っている感じです。
そのきっかけはちょうど1年前の2020年12月に開催されたRails Girls Gathering Japanでした。その詳細を今年の振り返りも兼ねて書いてみます。
Rails Girls Gathering Japan
Rails Girls Gathering Japanは2020年12月に1回目が開催されました。
railsgirls-japan.doorkeeper.jp
タイムテーブルにもある通りで私はLTをしたんですが、それはもうエモい話、しかも過去の話*1をしました。それはそれで話したかったのでよかったんですけど、私の中で刺さる出来事がその直後に起きました。
それが松田さんのキーノートでした。
何度か「よく”幸せです”とか言いがちなんですけど、それもいいけど、もっとコード書こうぜ」というような何かが飛んでくる、大変楽しいお話でした!*2 *3
その頃の私は「OSS活動やりたい」と言いながらほとんど活動していなくて、なんとなく「自分にはそんな良いパッチとか書けないよー」「でもやらないと書けないままだしなー」みたいなうだうだと管を巻いていた時期だったんですけど、なぜだかそのキーノートでふっと力が抜けたんですよね。「コード書こうぜ」->「あははーほんとそれなー」くらいの軽い感じでしたが、ちょっと大仰に表現すると、憑き物が落ちたような感覚でした。
興味があることの中にOSSがある感じ
話がガラッと変わりますが、アルゴリズムを少しでも理解するというのが私の2021年の目標の1つで、本当に本気で何もわからないところから、簡単なものなら頭の体操のように考えられるようになってきたり、計算量のことがわかったりしてきました。
特に、社内勉強会きっかけで通称けんちょん本を読んだことでC++で処理を書いていく中で「Rubyでこういうのって提供されているのかな、自分で書く必要があるものもあるのかな」という興味が湧いていきました。 初手としてSetを理解してみようと思ったところ、irbにコントリビュートすることができました!
人類にとっては私という人間が初めてコミットしたなんてことな小さなことでも、自分にとっては劇的なことでした。
パッチの内容としては、irb上で標準ライブラリであるはずのsetをrequire set
したときにfalseを返しているがそうならないようにした、というものでした。
このことに気づいたのがちょうどAsakusa.rbの時間でした。「挙動が期待と違う気がするんですけどどうでしょうか」とRubyに詳しい人々に質問したら、「お、いいですね、パッチかきましょう」と背中を押していただいたり*4、PRのdescriptionについて「もっとこんなふうに書いたらメンテナーに伝わるよ」とアドバイスをもらったり、あとは中の人である糸柳さんと直接内容について話してその場でマージしていただいたりなどしました。
こう書くと、すごい環境だなーと感謝が湧いてきますね...!*5。当時、感謝と同じくらい「ああ、楽しいな」「こんなふうにやっていきたいな」と心から思いました。
それまでは私は目的と手段が逆転してたんだろうと今振り返ると思います。「OSSやりたい!」が先行しすぎて、なんか粗探しっぽくなったり、ごくごくたまにすごく稀に自分自身があんまり困ってなかったりそこまで強く欲しいと思ってはいないことをPRにしたりという感じ。
「やりたい!」って思うことは多分悪いことではないと思うのですが、ちょっと気負いすぎ、構え過ぎ、先行しがち、同時に内心恐れ過ぎていたなと今では思います。
Kaigi on Rails 2021
今年を振り返ると、Kaigi on Rails 2021に登壇できたのはありがたかったなあと改めて感じます。
この登壇が決まったおかげで、「ずっと作りたいと思ったまま怯んでいたコードを書いてみよう」と思って行動できたし、やりたいことをやるためのメタプロが本当に最高に楽しいと思うよになりました。 それと同時に、行動したことによって、本当にちょっとしたライブラリ作るのでも設計やテストが今の自分にはまだまだ難しくてできないことが多いなあと分かって、次の方向性としてそれらをできるようにすることが目標*6になったりしました。
発表内容などはこちらに書いているので、詳細は省略します。 neko314.hatenablog.com
そういえばこのgemをやっていくなかでrspec-coreとrubygemsにコントリビュートできたので嬉しかったです。
その後の私
活動のペースは変わらず緩やかなままですが、2021年をこんな感じで過ごせたので、今は「人と比べてみるともしかしたら誰より遅いかもしれないけど、私はこんな感じでやっていこう」と思うようになりました。「自分の人生を生きていくぞ」と締め括るために、最後にこちらのスライドを添付して終わります。というわけで2021年もRails Girlsのおかげで素敵になりました。ありがとうございました。
*2:当日いらしていなかった方向けに簡単に補足しておくと、主題は自作(キーボードやライブラリ)の話でした。
*3:私は刺さったけど嫌な感じとか全くなかったです。というかそもそも勝手に自分に向けて話されていたと思っているんですけど、言ってもらってよかったと思っています!
*4:皆さんコミッターだったりコントリビューターだったりして、私がやるより皆さんがされた方が作業が早くて仕上がりも綺麗だと思うんですけど、やってみなよって言ってもらったのが嬉しかったし「やるぞ」と思えました。
*5:私はたまにしか参加しないゆるゆる人間ですが、こんな感じで楽しいのでAsakusa.rbもっとみんなおいでよ、と思っています。ほら、私みたいなゆるい人間もいるんだよ!
*6:そんな私のためにあるかのようなPolished Ruby Programmingという最高の書籍が今年の夏に出ました。ベータ版なら日本語訳が今すぐ買える!全然意味がわからないところもたくさんあるので「むずっ」と思いながらコードを試したり何度も読んだりしています。そんなふうにPolishできる大変よい本です。